『魯迅の言葉/魯迅箴言』(平凡社・三聯書店)関連
メディアや読者の皆さま、書評や御感想をありがとうございます。
順次、紹介させていただきます。
日中共同出版座談会(2011年5月)の紹介記事はこちらへ
(大江健三郎さんの中国版帯文の直筆原稿の写真も。)
中国語サイトの掲載情報はこちらへ
■e-hon全国書店ネットワーク「編集担当者25時」(「新刊ニュース 2013年5月号」より抜粋)
山本明子さん 「世界で最も美しい本」の〝脊梁〟」
『魯迅の言葉』制作の真の立役者、平凡社・編集部の山本明子さんの、「世界で最も美しい本」銀賞受賞を受けての エッセイです。
(制作秘話を拝読し、ご苦労をかけた一人として改めて感謝の気持ちでいっぱいです。)
本が一個の塊に見える造りに、と幾種類もの紙で十冊近く束見本を作り、三方の色吹付も妥協しなかった。さらにシミに見えかねない赤のグラデーション、タイ トルの箔押し、シール仕立てのバーコードに及ぶ色校正……スタッフ内の言い分はもとより、技術や費用面も調整する役割としては、板挟み以上の集中砲火で逃 げ出したくなったことも一度ではない。採算が合わず、土壇場で定価を数百円上げざるをえなかった。
そして出来上がったのは――確かに今までにない、〝新しい魯迅〟であった。何事にも「諦めのよい」自分が、執着なければなし得ないこともあると知った経験だった。
(……)それらすべてを支えてきた脊梁(魯迅の表現)はしかし、ゆるぎない一三〇の魯迅の「言葉」だったように思う。芯なるものの強さが衣装を何倍も輝かせ、世界の人にも届いたに違いない……いや、あるいは何もかも、自身が装幀にこだわった魯迅の導きだったのだろうか?
「近頃よく口にされる言葉に、『旧瓶に新酒は盛れない』という。/これはしかし、正確ではない。/旧瓶に新酒は盛れるし、新瓶に旧酒も盛れる……」(三九頁)
(エッセイから一部引用)
■朝日新聞 (2013年2月26日 夕刊)
『魯迅の言葉/魯迅箴言』の「世界で最も美しい本」銀賞受賞についての新聞記事です。
本書の日中共同出版に関する経緯、込めた思いなどについて、刊行に尽力くださった平凡社の下中美都さんのコメントが載っています。(電子版は写真をクリック!)
――〈人類はお互いに分け隔てることなく、関心をもちあうのが最もいい。
しかもその最も平坦な道は、文芸をもって通じ合うほかないが、
惜しむらくは、この道を行く人はまた、あまりにも少ない〉。
そんな魯迅の言葉も収められている。
国ごとに出品するため、今回は日本版のみ受賞したが、「中国の友人たちと、日中の平和を願って作った本なので、とてもうれしい」と下中美都・平凡社取締役は話している。
(記事から一部引用)
■日刊ゲンダイ (2012年2月20日)
<中国の英傑ならではのウイットある130句>
中国革命の父祖として名高い魯迅。日本への留学歴を持ち、彼の人柄と知性を見込んで支援を惜しまなかった日本人も多数いる魯迅の洞察と諧謔(かいぎやく)がうかがわれるのが本書。
「幼いときに人として扱われなければ、大人になっても人として生きられない」は親として大事な言葉。「改革者たちは、やたらと改革を語りたがるが、真の改 革が身に及ぶと、きっとおじけづくに違いない」は昨今の日本政界を予見したかのよう。「ぶち壊したからといって、必ず新しく建設されるとは限らない」も威 勢のいい小泉改革の気炎に酔った者には耳に痛かろう。「夢を見るときは自由だが、それを口にするのは不自由だ。(略)口にすれば、どうしても嘘になる」は 数々の苦難と失意を乗り越えた賢者ならではの感慨か。
「中国人には、昔から尊大なところがある。――ただ惜しむらくは、そこに『個人の尊大』はなく、すべて『集団的・愛国的な尊大』なのだ」は中国の英傑なら ではのウイットと冷静な自己認識の産物だろう。「老いた者は若者に道をあけ、促し、励ましつつ、彼らを先へと歩ませる」は高齢化する“かつての若者”世代 に贈る言葉。これら130句が見開きごとの日中対訳形式で書かれ、中国語学習者にもよさそうだ。
(「新刊レビュー」より引用)
■聖教新聞(2011年9月16日)
中村愿さん「生誕130周年記念――日中共同出版 「魯迅の言葉」を監訳して」
監訳者の中村さんによる、『魯迅の言葉』をめぐるエッセイです。
刊行後、東日本大震災や福島原発事故を経た今、魯迅のひとつひとつの言葉に思いを馳せながら、これからの私たちの進むべき道を探っていくような、そんな印象的な文章です。
以下、最後の部分より。(ぜひ、全文をご覧ください。)
――大震災後、半年が過ぎた。日本人はいまだ被災の渦中にある、と言っていい。魯迅は「人は寂寞を感じるとき、創作に向かう」(『而已集』「小雑感」)とも書いているが、やがて忍び寄るに違いない深刻な寂寞は、いかなる文学を我々に強いるだろうか。
「生き残ってしまった」石巻市出身の作家は「廃墟となった外部に対し、私たちの内部の新しい言葉をつくらねばならぬ」とテレビで語っていた。またしても魯迅の、絶望から這い上がろうとする言葉が重なる。
希望は存在とともにあるものです。存在あるところに希望はあり、希望あるところに光明があります。(『華蓋集続編』「談話記録」)
(中村愿「生誕130周年記念――日中共同出版 「魯迅の言葉」を監訳して」
より一部引用)
■みすず(2011年8月号)
竹内信夫さん(フランス文学、空海の研究者)が連載エッセイで『魯迅の言葉』に触れてくださいました。(詳しくは、編集者韓冰のブログをご覧ください。)
――本稿を書き始めた頃、一冊の本が送られてきた。
タイトルは『魯迅の言葉/魯迅箴言』。先に書いた韓さんの手がけた本、それも最初の本である。彼女の勤める三聯書店と日本の平凡社、日中出版社の共同制作に成るものだ。その背後には、(北京日本学研究)センター学生として日本に留学した韓さんと彼女の日本の友人の出会いがある。詳しいことは、その本に記録されている。
右頁に魯迅の作品から選ばれた短い文章、左頁にはその日本語訳(中村愿監訳)が、見開きで並んでいる。新書版のサイズの、赤い表紙のデザインが鮮やかな、美しい本である。本稿を読んで下さった読者への別れの言葉として、そのなかから私の気に行った一章を引用しておく。
古今君子禽獣斥人,殊不知便是昆虫,値得師法的地方也多着哪
古今の君子は、禽獣にたとえて人をとがめるが、
虫けらにさえ、人の手本に値することが多いのを知りもしないのだ。
(竹内信夫「北京つれづれ9」より一部引用)
■月刊「書道界」2011年7月号
中国題『魯迅箴言』。平凡社と中国の生活・読書・新知三聯書店による日中共同出版、二ヶ国語併記の快挙。奥書によれば日中ふたりの若い女性(編訳者)は「両国が新しい古典を共に読みあってゆくなかで現代の世界を考え、文化を共有したいという熱い思いから、本書の出版を企画した」。漢文が廃れ更にお互いの漢字が分からなくなった現代或いは未来にこの本は生きている。さて真紅の凝った装丁で精選一三〇句を収録。日本語文は音読みが少なく「揶揄」をからかい「真」をほんとうと訓ませるなど随所に工夫あり。ある意味口語文学の魯迅らしいのかも知れない。今お気に入りの一つを挙げれば「中国人はしばしば、坊さんを嫌い、尼さんを嫌い、回教徒を嫌い、キリスト教徒を嫌うが、道士を嫌うことはない。その理由がわかれば、中国の大半をわかったことになる。」
(書評欄より引用)
■サンデー毎日(2011年7月31日号)
池内紀さん(ドイツ文学者、エッセイスト)による書評
今年は魯迅生誕一三〇年にあたる。『魯迅の言葉』はハンディな小型版で、カバンやリュックに入れておける。電車の中、カフェの寄り道……。たまにはケータイはよしにして、火のように赤い本を開いてみる。澄んだ夕空にまっ赤な夕陽を見るここちがするだろう。
「旧(ふる)いものと新しいものには、往々にしてきわめて似たところがある」
だからこそ、きちんと識別する目が必要だ。旧いものはえてして新奇の意匠をひっかぶっているし、本当に新しいものはどこか古風な印象を与える。二ヶ国語並記なので、右ページには「旧的和新的,往往有极其同之点。」中国語はわからくても漢字のよしみでたどっていける。「幼いときに人として扱われなければ、大人になっても人として生きられない」。漢字では四字・五字あての二行。文章家魯迅のレッパクの気合がほとばしるぐあいである。
(サンデーらいぶらりぃ「読書の部屋」より引用)
■週刊読書人(2011年6月10日号)丸川哲史氏による書評
「ユニークな試みの一冊――日中対訳など意義深い仕掛けが」
以下、抜粋です。
●いわば歴史的・政治的文脈を括弧に入れ、普遍的な人生の指針として魯迅を編集し直し、別の角度から(読者の自由に任せ)魯迅受容を巻き返したいとする編集側の意図が見えるが、書評者は敢えてその試みを「良」としたい。
●本書は日中対訳本であるのだが、そのためでもあるのか、収められている文において、容易に「中国」がむしろ「日本」に反転することが多い。[中略]いずれにせよ、かくも中国と日本は絶対的な非対称性として対称性を背負っている、と言わざるをえない。「鏡に映るようにはっきりとは、他人の心が見えないことが多い」(『域外小説集』「新版序」)と魯迅も語っている。[中略]日本と中国はお互いに鏡となるほど、単純な関係にはない。むやみに自分たちの知る「民主」や「英雄」のイメージを中国側に投影し声援を送ったとしても、的外れになることが多いこともその意味を補っている。
●最後に、本書には多くの魯迅の好んだ版画が配してある。たとえ「定番」であるにせよ、魯迅の精神の傾きを表す意味で最適の選択であったと評し、付け加えておきたい。
*上の抜粋部分の他、本書と論語や毛沢東語録との比較など、とても示唆に富む内容です。
ぜひ(画像をクリックして)全文をご覧下さい。
■週刊新潮(2011年6月2日号)
「『今なにが必要かを問わずともよい、自分になにができるかを問うことです』。本書に並ぶ短い文章から、読む者は自分にとっての意味を探っていく。ページの右に中国語の原文、左に見事な日本語訳。余計な解説抜きで魯迅の言葉とだけ向き合える美しい造本だ。」
■京都新聞2011/05/09
「今年は魯迅生誕130周年にあたる。それを記念して魯迅の言葉から130句を精選したのが本書。魯迅の名言集は数あるが、この本のユニークな点は、見開きで日本語と中国とを併記し、日中で共同出版したことだ。「希望正如地上的路」「希望は地上の路のごとし」。中国語ができなくても、漢字のおかげで魯迅の思想を中国人と共有しているような感覚になる。共同出版の意図もそこにあるという。人間観察の力に富み、批判精神にあふれ、革命を夢見た言葉は力強い。手元に置いておきたくなる一冊。」
(「新刊の本棚」より引用)
■西日本新聞2011/05/01
「今年は中国の作家、思想家、革命家だった魯迅(1881―1936)の生誕130周年。記念して中国の出版社と共同出版したのが本書である。昨年、北京で 発行された「魯迅箴言(しんげん)」の365句から130句を選んだ。本を開くと右のページに中国語、左のページに邦訳が並ぶ形式で、魯迅の思想を学びつ つ日中双方の語学学習にも役立ち、日中交流の「先駆的試み」と訳者はいう。さらに、平易な文章、ひたむきで温かい人間性に触れている。邦訳にも中国の原語 を写しながら、たとえば邦訳で「切実」に「みぢか」とルビを振るなどの工夫を施している。」
(書評欄より引用)