江戸の紋切り遊び(日本)

今では「決まりきったツマラ ナイもの」といった意味で使われる「紋切り型」という語。

その語源は文字通り紋を切り抜くための型であり、

江戸時代、人々は家紋を紙に切り出す遊びに興じていたという。

 

紙を数回折り畳んで型紙通りに鋏をいれ、

紙を開くと、美しいカタチが現れる、これが「紋切り遊び」だ。

 

はじめは紋を描く職人の型紙制作の技術として発展したものが、

町人たちの間にも広まり、教本も売りだされて、寺子屋や遊郭で嗜まれたらしい。


家紋は長い間、貴族や武士階級のものであり、身分を見分けるしるしとされたが、

町人が力を蓄えた江戸後期には、

役者が舞台で使いはじめ、町人も家紋を身につけるようになった。

新たな紋が生み出されては流行し、着物をはじめ様々な意匠に応用されたのもこの頃とされる。

 

言葉遊びとも結びつき、生きながらえたカタチは、まさに日本のグッドデザイン。

そこからは、自分の数世代前の人々のしゃれっ気たっぷりの感性や、

季節の自然や日常の道具などを愛でる瑞々しい視線を伺い知ることが出来る。

 

紋切り遊びに連なる切り紙は、

明治以後も昭和初期くらいまでは「キリヌキ」という名で、

図工の教科書に登場していたというから驚きだ。


 [参考・図版:下中菜穂『切り紙・切り抜き・紋きりあそび 』、 2009年]

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