中国の文学者魯迅は日本でも広く、深く読まれてきた。
しかし、中国人と日本人が一緒に、一冊の魯迅言葉集を作り上げることにいたっては今回ははじめての試みだ。
中国国内の魯迅研究者によって編集された『魯迅箴言』(365句)を親本としつつ、そこからさらに130句を選り抜き新しい一冊に仕上げるプロセスは、チームの各人にとって新鮮な体験となっていた。
どの言葉を取り、取らないか。その理由はなぜか。
並べることでいかに言葉群の内在的関連性を洗い出し、石ころの集まりを美しい星座へと変えることができるか。
バックグランドから来る読みの違いのため時に論争もあったが、かえってより豊かな魯迅の世界が浮かび上がったのではなかろうか。
そして魯迅が描いた世界風景は今日の世界になお通底していること、魯迅が語った個としての生き方は今日いっそう困難となり、必要となっていることなどを、この作業で学んだ。
――編者の一人、韓氷より
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